実践的研究

空間デザイン Space Design

地域デザイン Regional Design

鎌田研究室では、様々な地域と連携しながら実践的な地域デザインを行っています。その活動では、ゼミ生が中心となって団地再生や地域ブランディング事業などに取組んでいます。

芦屋さくら通り周辺官民連携による未来ビジョン策定

生活環境学科・鎌田ゼミが4月6日、「桜のトンネル」で有名な芦屋市の茶屋さくら通りを一日だけ歩行者天国にして、通り沿いに屋台を出店するイベント「一日の奇跡が、未来のあしやを満開に咲かせる!プロジェクト」を地域と連携して実施しました。参加した人たちは、茶屋さくら通りに約50mにわたり敷き詰めた人工芝のうえに思い思いに座り、屋台の出し物を楽しみながら満開の桜を満喫しました。

芦屋市では、官民が連携して地域活性化につながる賑わいを創出しようと、未来のまちづくりを考える取り組みが活発です。鎌田ゼミでは、芦屋の象徴的なエリアである茶屋さくら通りに、持続可能な賑わいを創出する場を生み出すため、イベントを活用した社会実験を企画。子どもを中心に、地域の人たちが参加して、未来の街をポジティブにイメージするイベントを考えました。

イベントは官民でつくる「あしやエリアプラットフォーム」と連携して運営。事前にワークショップを開催して、親子約30組とともに「キッズドリーム屋台」のデザインや催しを考えました。

ワークショップで出た案をもとに、地元の工務店の協力で完成した7台の屋台が出展し、ゲームなどの催しを行いました。うち1台では鎌田ゼミの学生たちが未来の芦屋を考えてカードに記入する「まちの未来!コトバの花びらプロジェクト」を開催。来場者と30年後の芦屋市を考え、カードを桜の木やロープに飾りつけました。

鎌田ゼミでは、イベントに参加した人たちの行動調査を分析し、今後の芦屋のビジョン策定に役立てる予定です。

エリアブランディングリノベーション

生活環境学科・鎌田ゼミは、本学社会連携センターを通じて、株式会社ワンズより同社社屋のリノベーション提案の依頼を受け、本年度4月より6名の学生とともに検討を進めてきました。

学生たちは単なるビルの改修にとどまらず、社屋が立地する南船場全体の価値を高めることを目指し、「エリアブランディングリノベーション」という新しい手法を提案しました。

提案にあたっては、南船場の歴史や街並みを調査し、戦後に繊維問屋街として発展した地域の特色を活かすため、以下のような具体的なアイデアを盛り込みました。

・戦後の繊維問屋街のイメージを継承するサインフラッグを用いたストリートデザイン

・地域に点在するストリート沿いの「ゴミ置き場」を地域資源としてとらえ、アートの力で美しいゴミ置き場へと変えることで、ゴミの散乱や落書きのない景観を創出

また、社屋のリノベーションでは、

・豊臣秀吉による大阪城築城時の商人移住により形成された町の成り立ち

・水都と呼ばれた水運の歴史と、現在も残る碁盤の目状の町割り

こうした歴史性を視覚的に表現する内外装デザインを提案しました。

提案後、株式会社ワンズの社長やスタッフの皆様と協議を重ね、具体的なデザインを進めることが決定しました。今後、このプロジェクトは後輩の学生に引き継がれ、他研究室も加わることで、より広がりのある取り組みとして展開していく予定です。

芦屋市・またあしたプロジェクト(団地再生)

またあしたプロジェクトとは?

芦屋市にある芦屋浜高層団地を舞台に、「芦屋浜自治連合会」×「兵庫県住宅供給公社」×「武庫川女子大学」が連携し、「いつも誰かがそばにいてくれる多世代交流」をテーマに、こどもたちを見守り、様々な世代が集まれる場づくりを行うプロジェクトです。帰るときに「またあした!」と言葉を交わせるコミュニティづくりを目指しています。

具体的に何をしているの?

集会所のリノベーションと広場のデザイン

芦屋浜高層団地にある集会所とその前の広場空間をモデルエリアとして、居心地の良いたまり場作りの改修を行ってきました。集会所内は、トイレを1ヶ所に集約し、カウンター付のキッチン空間を確保、天井をなくした開放的な空間には、絵本が並ぶ本棚や、簡単なワーキングテーブルなどを設置されています。

コミュニティデザイン

サポートしてくれる『またあしたサポーター』の皆さんと一緒に、決まった曜日・時間帯に、集会所を『またあした広場』として、誰でも気軽に立ち寄れる開放されている状態を作りだすことを目指します。みんなで作り上げる定期的なイベント(絵本の読み聞かせなど)のほかにも、ママ友がちょっと集まってお茶を飲んだり、シニア世代が子育て世代と交流したり…。集まる方々がみんな気持ちよく過ごせるルール作りも検討していきます。

またあしたプロジェクトは、「人間サイズのまちづくり奨励賞」を受賞しました!

丹波市・丹(まごごろ)の木プロジェクト

丹(まごごろ)の木プロジェクトとは?

武庫川女子大学と丹波市の包括連携協定の締結を受けて、丹波市からの助成によって「丹(まごごろ)の木プロジェクト」がスタートしました。

丹波市は林業が盛んな地域です。

美しい自然に囲まれた素晴らしい地域です。

しかし、近年の林業の衰退によって、山の荒廃と生態系の破壊を招いて土砂崩れを起こす原因にもなっています。それから少子化によって地域からこどもたちが減少していることも大きな課題となっています。

この2つの課題に、丹波市と市内の林産業者と大学が一体となり、丹波市産の木材の活用と、小さな命をつなぐ、木育地域コミュニティのプロジェクトを進めています。

丹波の「丹」がまごころと読むことができることから、わたしたちはこのプロジェクトを「マゴゴロの木プロジェクト」と名付けました。

2020年度から進めてきたこのプロジェクトは、大学の演習の授業やゼミのプロジェクトへと発展を遂げ、さらに一部の学生はその成果をベースに卒業研究として挑戦しました。

大牟田市・空き家活用の可能性

図像デザイン Iconography Design

研究室メンバーのイラスト(作成:森田七望)